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18.一杯のかき氷
私は夏になるといつも思い出されることがあります。
それは、透析にも慣れた頃、時々通ったサウナで出会った一人の青年とのできごとについてです。
何故、透析の私がサウナにと思うことでしょう。それは、無尿になり、汗もなかなか出ないうえに、一日に飲める水分量が約500~600ml(コップ3杯前後)と厳しくなるので、時々サウナで汗をかいては、かいた分に匹敵する冷たい水や氷を口に頬ばるのです。
このような厳しい水分制限があるので、勿論、サウナ上がりの健常人が美味しそうに飲んでいる生ビールなどは望むべくもありません。
そんなことで、夏場には時にあしげなくサウナに通っているうちに、1人の青年と知り合いになりました。
彼は、私より2周りも若いのに、私と同じように透析をする身であり、母ひとり子ひとりで、何でも透析になると今の会社にいられなくなるので母に心配をかけていると言っていました。
この彼と、ある夏の日にサウナで一緒になりました。
サウナを出ると、休憩室のフロアーには、生ビールを美味しそうに飲む人々がいましたが、私と彼はその光景をうらめしそうに眺めながら、どちらともなく顔を見合わせ、水が飲めない者同志でかき氷一杯を二人で仲良く食べようかということになりました。
そして、テーブルに運ばれてきた一杯のかき氷をこの青年と代わる代わる食べたのです。
まさに、一杯のかけそばならぬ、一杯のかき氷でした。
その青年も今はいません。
そして、今年も、あの夏に彼と食べたカキ氷の季節がやってきました。
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